Column
2017.5.5
FabCafe Hida 編集部
FabCafe Hidaの設備をフル活用して、家具を作ってみた。
こんにちは、FabCafe HidaのFabディレクター、アサオカヒデアキです。
FabCafe Hidaで、どんなものがつくれるの?いくらくらいで?という問い合わせをたくさんいただきましたので、ここで自ら製作した記録を元に紹介させていただきます。実際にどんなものがいくらくらいで作れるのか、参考にしていただければ幸いです。
FabCafe Hidaでは、3DプリンターやCNCミリングマシン、レーザーカッターなどのデジタルファブリケーション機器と、本格的な木工機械を揃えています。さらに、10種類以上にも及ぶ豊富な広葉樹を選んで使うことができるのも飛騨ならではの体験。
カフェ空間の家具も、自分たちで作ったものを少しずつ増やしています。(というか早くつくれと急かされてます)
カフェでは定期的にものづくりワークショップも行っています。
カフェの奥には、蔵を改装した木工房には木工機械。テーブルソー、プレーナー、バンドソー、ベルトサンダーなど、木工に必要な機械を一通り揃えられています。(ちなみに、木工設備は以前私が修行していた家具製作所で使っていたものと同じ種類のものを選んでいれてあるのです)
CNCでつくるオリジナル有孔ボードで、効率的に道具を収納する。
FabCafeのFabコーナーでは、毎日色々な道具を使うのですが、それらの道具がすぐ無くなってしまうのと、探すのに時間がかかることに日々問題を感じていました。そんな時に有効なのが、有孔ボードです(シャレではありませんよ。)
全ての道具が「見える化」され、探しやすく、美しく、なおかつ場所も取らない。よくある感じだけれど、作業空間において最も効率的な収納の1つといえます。
孔のサイズ、ピッチなどを全てカスタマイズ。
既存の有孔ボードって、穴の数が多すぎてなんだか不安になりませんか?(私だけ?)蜂の巣など穴だらけのものになぜか心理的不安を感じてしまう私は、CNCを使って穴のサイズやピッチをカスタムし、この空間に最適な完全オリジナル有孔ボードを作ることにしました。
コンピュータで描いた図面の通りに切削してくれるのがCNC。こちらはオリジナルマインド製のCNCで、600×900のサイズを加工することができます。イラストレーターで図面を描き、Vcarve proで経路設計をしました。
木工旋盤で丸棒をつくる。
CNCが稼働している合間に、旋盤でスティックを作成。
普段のものづくりで生じた大量の端材から、直径10ミリの丸棒を量産。樹種はトチ、ミズナラ、ヤマザクラ、ホオなど、色々な樹木をちりばめて「まぜまぜ広葉樹スティック」を作りました。
角材を回転させてながら切削することで、「丸棒」を作ることができる木工旋盤。お皿やお椀などもつくることができます。
ホオ、クリ、ヤマザクラ、トチなど、色々な樹種で作りました。
ちなみに私は以前修行していた家具メーカーで旋盤で毎月500本以上の丸棒(イスの脚など)を作っていたので、旋盤は得意分野。0.1ミリ単位の精度は当たり前・・・と思いきや、だいぶ鈍っていました。。
壁の白に合わせてボードも白く塗装しました。結果的にまぜまぜ広葉樹スティックのまぜまぜ感が強調されました。
穴のサイズは10φ(本来の有孔ボードは6φ)、穴と穴のピッチは80mmで設計。
実際の取り付け後の様子がこちら
レンチ、ノギス、スケール、カッターなど、色々な道具の「居場所」ができたことによって、道具が失踪しなくなり、使い勝手がよくなりました。(ちゃっかり子機くんも置いてみた)
でも、一番の成果は「ものづくりができる場」っぽさが出たこと。何か作ってみたくなる。道具を使うことが楽しくなる。つくる行為を刺激する、ワクワクする空間に近づきました。
ちなみに↓がビフォー。
パソコンの後ろに置いていたディスプレイも、ボードに取り付けて壁掛けディスプレイ化しました。裏がこういう感じになっています。もともとスタンドが付いていた部分のネジ穴部をハックして、レーザーカッターで新しくプレートを作り、そこにまぜまぜ広葉樹スティックを取り付けることで有効ボードに固定できるようになっています。
CNC有孔ボードとまぜまぜ広葉樹スティック
使った素材
・3 x 6 ラワン合板 9mm:¥2000
・広葉樹端材(ホオ、トチ、ナラ、クリ、サクラ):¥3000
使ったFABマシン
・CNCルーター
・レーザーカッター
使用ソフト
・Adobe Illustrator (設計)
・Vcarve Pro (CAM)
使った木工機械
・木工旋盤
・テーブルソー
・プレーナー
価格参考
・工房利用料:¥10000 〜
・スタッフサポート:¥20000 〜
・材料費:¥5000
合計:¥35000
総作業時間:およそ2日
3Dプリンターを使ったコート掛け
FabCafeにはコートを掛けるものがありませんでしたが、ついに登場。(もうすぐいらなくなる季節だけど)3Dプリンターで出力されたジョイントに、広葉樹の角材を突っ込むだけで自立するスタンドを作りました。
角材は28mm角。もちろんまぜまぜ広葉樹です。
モデリングは、Rhinoceros。この微妙な角度を計算するのにだいぶ苦戦しました。。
3Dプリンターの素材はPLA樹脂。植物性なのでゴミになっても土に還るという特性を持っています。ちなみにこれでプリント時間は6時間ほど。意外と時間はかかりますが、プリントしている間に違う作業ができます。
クリップライトをつけて簡易的な照明にすることも。
3Dプリントジョイントとまぜまぜ広葉樹角材のコート掛け (2台分)
使った素材:
・広葉樹角材(クリ、サクラ、チャンチン、カツラ、ケンポナシ):¥5000
・PLAフィラメント 白:¥2500
使ったFABマシン
・3Dプリンター
使用ソフト
・Rhinoceros(3Dモデリング)
・CURA(3Dプリント用スライス)
使った木工機械
・テーブルソー
・プレーナー
価格参考
・工房利用料:¥5000 〜
・スタッフサポート:¥10000 〜
・材料費:¥7500
合計:¥22500
総作業時間:1日(データ作成や設計時間は除く)
いかがでしたか?
デジタルな加工とアナログな手仕事を組み合わせることで、難しい技法や新しいアイデアにチャレンジすることができるのが、FabCafe Hidaの最大の魅力です。しかも、製作に煮詰まったらカフェでコーヒーを飲みながら一息つくこともできる。ものづくり好きにとってはまさに夢のような空間です。※現にいくつかの利用者が口をそろえて、ドラゴンボールに出てくる「精神と時の部屋」のようだというコメント多数。
ああ、ていうか早く自分んちの家具をつくりたい。
FabCafe Hidaで、あなたのアイデアを一緒に形にしてみませんか。ものづくり経験がない方でも、スタッフと一緒に一からつくることもできます。メールにて、お気軽にお問い合わせください。
info.hida@fabcafe.com
(工房利用案内に関するWEBページ、現在準備中です。。もうしばらくお待ち下さい)
執筆者 / アサオカ ヒデアキ
(株) 飛騨の森でクマは踊る:蔵長 FabCafe Hida:Fabディレクター
飛騨古川出身、名古屋芸術大学プロダクト&スペースデザイン科 卒。家具メーカーやインテリアデザインオフィスで勤務し家具づくりや空間デザイン を経験後、地元にFabCafeができるというのでちょくちょく出入りしているうちにスタッフに。
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