Event report

2017.6.28

イベントレポート:手で覚える! 革職人から学ぶ、一生使える革知識ワークショップ

FabCafe編集部

2017年6月10日(土)、FabCafeでは「手で覚える!革職人から学ぶ、一生使える革知識ワークショップ」を開催しました。
講師に、革職人でありデザイナーであるKULUSKAの藤本さんをお招きし、”一生使える革知識”を学ぶ体験型ワークショップを行いました。革を愛する人が集まり、アットホームなワークショップの様子をFabCafeのオオシマがレポートします。

革の種類って1種類ではないこと、ご存知でしたか?


革は、牛・豚・山羊・馬・イノシシなどさまざまな動物から作られています。
まずは革の種類とそれぞれの革の特徴について、藤本さんに教えていただきました。


普段、私たちが目にする革は製品になっていたり小さなサイズにカットされているものが多いと思います。浅草の問屋さんに行って革を購入すると

半裁と言われる単位で購入することが可能です。

半裁とは動物の形の半身(頭から背骨にかけて半分にした状態)になります。藤本さん曰く、革は広げたサイズ感でも種類を想像できるのだとか。大きな革は馬や牛、中くらいの革は山羊、というように革のサイズからも革の種類を想像することができます。

同じ牛の革でも背中付近は繊維が詰まっていてしっかりと、お腹は伸び縮みするため柔らかい革を選ぶのだそう。部位によって革の質感も変わるなんて面白いですね!それぞれのアイテムにあった部位を選んで作ると作る幅が広がりそうです。


実は、革は動物だけではなく魚からも作ることができます。
みなさん、魚の革をみて「おーー!」と歓声があがりました。

この革は、KULUSKAのプロジェクトでスリッパがケニアへ旅をした際に、現地の方からいただいた貴重なもの。その他にも、普段目にすることが少ない革のお話や、革を作るまでの工程について教えていただきました。

革には生きていた頃の傷、

個体の種類を示す焼印が刻まれているものもあります。その歴史をしっかり感じながら革を大事に、長く使っていきたいですね。参加者のみなさんも、革について学び、あらためて「革を大切にしたい」と感じてくれたようでした。

ここからは、実践!

藤本さんと一緒にキーカバーを作りました。



今回はカッターやハサミでのカットを体験します。

これも、自宅ですぐに作れるようにと身近な道具でもつくれることを願ってのこと。この日使った革には、綺麗にカットができるように、あらかじめ軽くレーザーカッターで印がつけられています。

ところでみなさん、革の「面」には、それぞれ名前があることをご存知でしょうか?


革の表面を銀面(ぎんめん)、裏面を床(とこ)、カットした側面を小口(こば)と言います。
藤本さん曰く、それぞれの処理をすることで革製品はぐっときれいに、見た目も美しくなるそう。

ワークショップでは、まず最初に床(裏面)の処理をしました。
床は毛羽立ちやすく、処理をしていない状態ではごわごわした質感です。


そんな床面には”トコノール”を塗っていきましょう。トコノールとは接着力のほとんどないノリで床面に使用することで毛羽立ちをおさえ、美しく仕上げることができます。


トコノールの他には、CMCという粉末状のものや布海苔という海藻があります。どちらもトコノールと同じ役割をします。
トコノールはワックス成分が表面にツヤをあたえ、CMCはナチュラルな仕上げになります。また、布海苔は海藻なので小さいお子さんが口にしても安心です。

藤本さんは、場面によって使い分けてみることを提案されていました。

床の処理が終わったら次は小口(側面)の処理をしていきます。 小口もトコノールを塗って整えることができます。また、レーザーカッターを使わずカッターやナイフでカットした革の場合、熱処理を加えることで切り口が綺麗になります。


さらに、”ウッドスリッカー”を使用して断面をコロコロと転がすと切り口が切られたままではなく丸みがかかったような処理になります。
これだけで、革製品の見た目がずいぶん変わりました。


床と小口の処理が終わったら好きな色の糸を使って縫います。
縫う作業は難しそうに見えますが、藤本さんによると、ポイントを知っておくだけでとっても簡単に綺麗に縫うことができるそう。それは、焦らず、右と左の順番をしっかり守って縫うこと。
「え、それだけ?」と、思うかもしれませんがとても重要です。自分の中でルールを決めて一針一針丁寧に縫っていきましょう。

完成したキーカバーはこちら!

シンプルながらもとっても綺麗にできました。



参加者の皆さんが一番気になっていたのが、銀面(表面)の処理。藤本さんによると、日常的に使う革小物は基本的に手の脂だけで問題ないそうです。しっかり触って、長く使うことでどんどん手に馴染み、自分らしい革製品に変化していきます。また、ブックカバーやお財布などの革製品は基本は手の脂だけで問題ないですが、普段あまり手にしないところや折り目になっている部分にはオイルを塗ってあげるといいそうです。オイルがない場合は、ハンドクリームを手に馴染ませてから触ってあげるのよいそう。革も人間のお肌と同じで適度な保湿が必要なようですね。

今回、このワークショップを通して「もっと革を知りたくなった」「一生大事にしたい」という声をたくさんいただきました。革ができるまで、そして手元に届くまでの過程を知ることでさらに愛着が湧きました。お気に入りの革製品もさらに大事にしたいと思っていただけたのではないでしょうか。これから革を使ったものづくりに挑戦したい方も革の奥深さに魅了されたようです。

「第2回はないんですか?」「もっとじっくりしっかり革について学びたいです」という声もたくさんいただきました。今後、第2回や新しい革を使ったワークショップを開催する予定です。
是非、チェックしてみてくださいね。

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    FabCafe PRチームを中心に作成した記事です。

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